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“松本人志”

さや侍

さや侍

4

2011年 / 日本
監督:松本人志
脚本:松本人志
出演:野見隆明 / 熊田聖亜 / 板尾創路 / 柄本時生 / りょう / ROLLY / 腹筋善之介 / 清水柊馬 / 竹原和生 / 伊武雅刀 / 國村隼

見終わった直後の感想として一言挙げるなら、“心から愛を感じる映画”でした。変化が激しい松本人志監督の作品では一番“わかりやすい”映画とも言えるだろうと思う。

「笑い」は「哀しさ」と表裏一体という部分を、笑いを取れなかったら腹を切らなきゃいけない「三十日の業」というものに位置付け、クライマックスでは自身の環境の変化からくる想いを感動的な手紙にして詠み上げた。主演の素人のおっさん野見隆明が直前で見せた迫真の演技で大きな振り幅があった分、より直接的に訴えかけられた印象です。

この野見隆明という男は、2002年10月にスタートしたフジテレビ「働くおっさん人形」で登場した素人のおっさんである。続編となる「働くおっさん劇場」でも強烈な笑いとインパクトを与え、笑いを追求し続ける松本人志が「世界で一番面白いヤツって、世界で一番面白くないヤツなんじゃないか」と話したことはとても印象的だった。

自らは初めて監督業に徹した3作品目の映画の主演に、この“世界で一番面白いヤツって、世界で一番面白くないヤツ”が決まったのを知ったときから、ずっとわくわく感が抑えきれなかった。

先入観、もしくはそこを裏切りたいという想いが少しあるのか、不思議なものでオープニングで“さや”をしっかり持って森を駆ける野見隆明は、紛れもなく野見勘十郎を演じている俳優としての野見隆明に映っていて、背筋がゾクゾクッとした。

そんな印象を与えた冒頭のシーンでも野見隆明本人は「ただその場で走ってと言われたから」というのだけで演じたという。そんな舞台裏の話も入ってくると、ビジュアルイメージが高い意識の部分で合致したかのような、いかにあの映像がスゴイということがわかる。

しんぼる

しんぼる4

2009年 / 日本
監督:松本人志
脚本:松本人志 / 高須光聖
出演:松本人志

やっぱり今作は前作『大日本人』を比較対象として入った感じが強いんですが、すごく映画的な仕上がりだなーと思ったのが第一印象。演出だったり、カメラアングルだったり、演技だったり、ロケーションだったり。それでいて、見終わった後の感覚はどこか味わったことのない不思議な感じがした。

それは間違いなく終盤でエスカルゴマンの首がびよ〜んと伸びて相手をブッ飛ばすシーンからラストにかけての壮大かつ怒濤な展開を受けてのものだと思う。加えて、名前も年齢もわかんないパジャマ姿の男と、その男がいる謎の真っ白い密室。そのへんを観客がどうとらえるのか、たぶんそのへんがいわゆる「映画的」に感じた部分なんだと思う。

真っ白な部屋の中で、ちんこのボタンを押すことで、いろんなアイテムが飛び出してくるネタは、松本人志「VISUALBUM」の「マイクロフィルム」がちらちら脳裏をよぎって思い出さずにはいられなかったんですが、その何分間かのシーンで状況やルールを説明なしに把握させるという手法と、松本人志が作り出す映像作品がうまく絡み合ってた気がする。

特にその部屋で展開される“ネタ”も、アイテムとして日本を代表するものであったりして、国内外問わず観客を縛らない仕上がりになっている。日本人じゃないとわからない間であったり、絶妙な笑いであったりが盛られていたのが、もっと言うと松本人志という人物をある程度知ってないとわからないのが“大日本人”だとすると、今回の“しんぼる”は一般的でグローバルな意識を感じる。

「修行」「実践」「未来」という過程を経る中で、その男の行動は神聖な領域へと変化していく。あの空間にはそのような部屋がたくさんあって、「修行」の部屋から出れないヤツとか、引き戸に気付かず「修行」と「実践」の間に閉じこめられちゃうヤツがいるのかも知れない。

奇跡が起きたり、あり得ないことが起こったり、地球の歴史が変わる瞬間って、もしかしたらどっかでこんな風なやりとりが行われてるのかも知れない。男の“しんぼる”をぴゅるんと押して決められちゃってんのかも知れない。

大日本人

大日本人

5

2007年 / 日本
監督:松本人志
脚本:松本人志 / 高須光聖
出演:松本人志 / 竹内力 / UA / 神木隆之介 / 板尾創路

ガキの使い、ごっつ、ビジュアルバム、ザッサー、放送室などなどで、日常に「松本人志」そのものが取り込まれちゃってるって言ったらおかしな言い方かも知れないけど、そんなおれにはたまらん作品でした。このタイミングで「映画」というかたちでの露出を公開初日に劇場で観て良かったと心から思った。しつこいくらい何回でも観たい。