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Webディレクター/デザイナーtakasyiのシネマアーカイブ。単純に観た映画を覚えとく手段のひとつになるメモ書き程度のテキスト。休みの前の日に、夜中遅くまで映画観るのとかたまらんですよね。

ダイ・ハード ラスト・デイ / A GOOD DAY TO DIE HARD

A GOOD DAY TO DIE HARD

3

2012年 / アメリカ
監督:ジョン・ムーア
脚本:スキップ・ウッズ
出演:ブルース・ウィリス / ジェイ・コートニー / セバスチャン・コッホ / ラシャ・ブコヴィッチ / コール・ハウザー / ユーリヤ・スニギル

世界でもっともツイてない男マクレーンの物語、いや、ここまでくると世界でもっともツイてないぜ!オレたちマクレーン一家はな!と自らその道を選択していると言っても過言じゃないダイ・ハードシリーズ。
前作4.0からほぼ6年ぶりで5作目となる『A GOOD DAY TO DIE HARD』は、シリーズのファン、特に1作目が好きなファンにはなかなかたまらない内容になってるんじゃないかと思います。

モスクワで捉えられている息子ジャック(CIAのスパイとしてモスクワに潜伏中だったが捕らえられてしまった)を助けつつ、いつものごとく行き当たりばったりでテロ集団を皆殺しに行くわけです。
モスクワに着くやいなや「ロシア語なんて喋るんじゃねーよ!」と一般人から車を奪って、白昼堂々繰り広げられるカーチェイスがまず圧巻。軍用の装甲車を巨大な円柱のコンクリートに激突させちゃうあたりで、あぁダイ・ハード観てるんだなぁと再確認できた感じ。

そして今作の敵のテロリストもどこか古風で懐かしさを感じる。ジョンとジャックを捕らえて「アメリカ人はみんな嫌いだ」とダンスを踊っているうちに反撃されちゃったり、裏切りの裏切りがあったり、挙げ句の果てにはヘリで突っ込んできたりしちゃう。この辺りは前作の4.0でのコピーともなっていたアナログvsデジタルと比較すると、アナログvsアナログというイメージになる。

古風な雰囲気も醸し出しつつ、タンクトップに革ジャン、天井のステンドガラスを破壊して進むシーン、おなじみのセリフ「Yippee ki-yay mother fucker(イピカイエー・マザー・ファッカー=やったぜ!クソッタレ!!みたいな意味。今作での翻訳は果たしてあれで良かったのか...)」などなど、1作目を連想させるような要素やオマージュが散りばめられているので、単純に「マクレーン一家のツイてない話」としてシリーズ通してある程度俯瞰で見れれば楽しい1時間30分を過ごせるんじゃないかと思います。息子ジャック役を演じたジェイ・コートニーも様になってました。

ただ、チェルノブイリの放射能をすぐさま中和してくれるガス(?)とかなんじゃそりゃ...!って脚本もあったりでビックリして失笑。ダイ・ハードならそのへんも愛嬌で許せってか。それからやっぱり邦題の「ラスト・デイ」ってのが納得いかないよ。

ダークナイト ライジング / THE DARK KNIGHT RISES

THE DARK KNIGHT RISES4

2012年 / アメリカ
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーラン / クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベイル / マイケル・ケイン / ゲイリー・オールドマン / アン・ハサウェイ / トム・ハーディ / マリオン・コティヤール / ジョセフ・ゴードン=レヴィット / モーガン・フリーマン

「人はなぜ落ちるのか?」「這い上がるために落ちるんだ」

この2つの台詞はシリーズを通して、特に『バットマン ビギンズ』と今作『ダークナイト ライジング』において繰り返し出てくる、ある種のキーワードのような台詞となっている。

幾度となく“這い上がる”ことを選択し、試練を乗り越えてきたバットマンに対し、2作目にしてもはや伝説的となった『ダークナイト』を経て、もがき苦しみながら完結篇を仕上げていったであろうノーランの姿がかぶるかのようだった。そしてバットマン(=ダークナイト)とともに、堂々たる姿で完璧なまでに這い上がってみせた。

「あなたの思いを踏みにじった私は、執事失格です。ですが、これであなたの命を救えるなら本望です。」アルフレッドが放った一言。いろいろあるだろうけど、ここに凝縮されてるような気がしたなぁ。

『ダークナイト』=『ジョーカー(ヒース・レジャー)』というイメージが強烈に残り、胸に刻まれてることは今さら言うまでもないけど、ノーランはこの3部作に対してブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)の成長の物語だとしている。

もちろんそれは同時にアルフレッド(マイケル・ケイン)やゴードン(ゲイリー・オールドマン)ら、バットマンを取り巻く周りのキャラクターの成長にも繋がっているわけで、特にアルフレッドの今作における行動や言動は、心を動かされるようなものとなっている。

忠実な執事として、時にはユーモアなどを混ぜながらブルースが幼い頃から見守り続けてきたアルフレッドが、闇の騎士としての自分に囚われ続けているブルースに対していてもたってもいられず、感情をあらわにして想いをぶつけ、執事の身から退き、涙まで流すシーンもある。こんなアルフレッドは見たことがないし、ちょっと見たくもないとも感じたけど、彼の一挙手一投足がとても考え深いものであることと成長を再確認でき、ラストではお互いの人生を全うしようじゃないか、ということが伺える。

まさかスケアクロウがあんなところで出てくるとは思わなかったなぁ。考えてみれば恐ろしい。バットマンには誰でもなれるかもしれないけど、スケアクロウには誰でもなれないだろうからなぁ。

とにかく大満足で、一瞬な2時間45分でした。ロビンもカッコいいね。

ドラゴン・タトゥーの女 / The Girl with the Dragon Tattoo

The Girl with the Dragon Tattoo

4

2011年 / アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:スティーヴン・ザイリアン
出演:ダニエル・クレイグ / ルーニー・マーラ / クリストファー・プラマー / スティーヴン・バーコフ / ステラン・スカルスガルド / ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン / ベンクトゥ・カールソン / ロビン・ライト / ゴラン・ヴィシュニック / ジェラルディン・ジェームズ / ジョエリー・リチャードソン

原作となるスティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー・ミステリー3部作の1作目も、2009年に公開されたスウェーデン版『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』も、どちらも経ずに今回のフィンチャー版を観ることになったんですが、単純にイメージが一新した前回の『ソーシャル・ネットワーク』を撮ったあとのフィンチャー作品というところに、鑑賞の大きなモチベーションがありました。加えて“誰がハリエットを殺したのか?”などというアプローチで来られると、さらに構えてしまう感覚が先行しがちです。もちろん原作を知らないというのも多いにあるけど、良い意味で期待は裏切られたってところでしょうか。

とりあえず「最近観た恋愛映画でいいのある?」とか聞かれたら、コレをすすめようかと思いました。変態は何人か出てくるけどね。

それにしても、ドラゴン・タトゥーの女ことリスベット演じるルーニー・マーラ。『ソーシャル・ネットワーク』の冒頭で、一方的にしゃべり倒すマークの話を聞いてる娘が、こんな風になるとは思ってもみなかった。彼女のまさに“体当たり”の演技には終始魅せられます。しかも今回はマーク・ザッカーバーグが一目置きそうなくらいの(?)ハッカー少女なのもツボでした。

上映時間は160分近く。フィンチャー作品はどれもその長さをまったく感じさせない構成力がひとつの魅力でもありますが、今作でも一定の緊張感は常に保たれたまま鑑賞できました。

そしてやっぱり触れずにはいられないモザイクの件。ストーリー上、盛り上がりを見せる部分でのあのモザイク挿入は一気に現実に引き戻され「劇場でみんなでAV見てまーす」みたいな空間に叩き込まれる。理由なんざほぼほぼ察しがつくけど、もっとやり方あるだろう。なぜこういう雑な配給ができるのか残念でしょうがない。映画を愛してくれ。

冷たい熱帯魚 / COLDFISH

冷たい熱帯魚

4

2010年 / 日本
監督:園子温
脚本:園子温 / 高橋ヨシキ
出演:吹越満 / でんでん / 黒沢あすか / 神楽坂恵 / 梶原ひかり / 渡辺哲 / 諏訪太朗

すべてにおいて体当たり。でんでんスゴすぎる...。素晴らしい傑作だと思います。

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン / TRANSFORMERS: DARK OF THE MOON

TRANSFORMERS: DARK OF THE MOON

4

2011年 / アメリカ
監督:マイケル・ベイ
脚本:アーレン・クルーガー
出演:シャイア・ラブーフ / ジョシュ・デュアメル / ジョン・タトゥーロ / タイリース・ギブソン / ロージー・ハンティントン=ホワイトリー / パトリック・デンプシー / ケヴィン・ダン / ジュリー・ホワイト / ジョン・マルコヴィッチ / フランシス・マクドーマンド

マイケル・ベイ、恐るべし。この完全なるヒットメーカーのビジュアルの追求はいったいどこまで行くのか。その先を考えただけでもゾクゾクする。

『トランスフォーマー リベンジ』の時に、あれだけ複雑化した衝撃的な映像の数々に劇場で度肝を抜かれたことが、たいした出来事じゃないんじゃないかと感じさせるくらいのボリュームで、終盤のシカゴでの人間・オートボットvsディセプティコンの大規模な市街戦なんかは、え!?まだやるのか!?ってくらいの勢いで、こっちはもうお腹いっぱいでゲップも出ちゃったりしてる状況なのに、そんなの構わずどんどんどんどん迫ってきます。

加えて今作では、兵士たちが降下するシーンで3Dカメラを構えながら一緒にダイブしてスカイダイビングの疑似体験をさせてみたりだとか、まるでムササビかのようにスイスイーっとビルの合間を飛ばせてみたりだとか、ロボット以外でもとても手の凝った演出が目立ちました。

ある程度このへんの要素は求めて劇場に足を運んでるわけですが、はるかに想像以上のモノでした。エンターテイメントとして大満足。ちなみに破壊した車の数は532台なんだそうです。

ストーリーとしては、アポロ月面着陸の裏側ではいったい何が!?的な導入部で、歴史上の出来事を用いた構成は引き込まれやすいし好印象でした。誰しもが持つ、月や宇宙への興味や想いの部分をくずぐり、実際のアポロ11号の乗組員を登場させたり、ケネディ大統領とのやりとりもとても上手に興味深く作られてたなぁ。

話が終盤へ進むにつれやっぱりダレちゃった印象。「え?話飛んでね?」みたいなのもありましたが、すでにそのころの焦点は大都市での激戦という部分に当たってるので、どーでもいいっちゃどーでもよかったです。もっと的確に言うと、どーでもいいやとも思うヒマもないくらいの映像体験をしてたから、ってところでしょうか。

それでも、脚本家協会のストと重なって早く脚本を仕上げなきゃいけなくなったエピソードがある前作よりはきちんとまとまってはいた気がします。

そういう意味では、サムの周りで関わるキャストたちが豪華。ジョン・マルコヴィッチがこれまたいい具合?と言ったらいいのか、サムが入社する会社の上司役で怪演っぷりを披露。彼の台詞も「私を驚かせてみろ」など、印象に残るものが多かった。もうちょっと最後まで絡んで見たかった気もしますが、あまりにもその怪演が目立ってインパクトを与えちゃうのもアレか。

3作連続で出演し今作も活躍が目立ったジョン・タトゥーロといい、国家情報長官として登場したフランシス・マクドーマンドといい、このキャストだけにスポット当てたらコーエン兄弟のブラックコメディ寄りの新作か!?と思わせるような勢いでしたが、このバランスの取り方はけっこう好きだったりします。

あと、やっぱり言っときたい、バンブルビー可愛すぎる。