デザインを通してボクたちをとりまくすべての事象に目を向けていく場所として六本木で展開している21_21 DESIGN SIGHTが主催する企画展の第5弾、山中俊治ディレクションの「骨」展に行ってきました。
Why bones and design now ?
なぜいま、骨とデザインなのか?ってことで、この「骨」展をディレクションしてるのは山中俊治さん。山中さんといえば、代表的なところでSuica改札機のわずかな傾きを手がけて、エンジニアリングとデザインを融合させた、いわばあらゆるデザイナーが目指すべきところの世界にいるお方の1人。
デザイナーとエンジニアの視点を持って活躍する山中俊治を展覧会ディレクターに迎え、洗練された構造を持つ生物の骨をふまえながら、工業製品の機能とかたちとの関係に改めて目を向けます。
via: 21_21 DESIGN SIGHT 「骨」展 Bones
私たちはこの展覧会の準備を通じて、人がつくった骨が、生物の骨とはかなり違うものであることを学んだ。しかし一方で洗練された人工物の骨格が生物の骨格に通じる何かをもっているように見えることにも心をひかれる。
via: 山中俊治 + 畑中元秀
というイントロダクションからも察せれるように、その内容は非常に濃く深いもので、「自然の骨とつくられた骨」「自然のかたちとつくられたかたち」というアプローチで、構造的に無駄な部分は退化し、必要な部分だけが残り進化してきた生物の骨や骨格の写真と、それらをじっくり考察し人工的につくられた構造を擁する工業製品を展示。
興味深かったものとしては、動物、植物、家電や洋服にいたるまで、身近なものをX線やスキャナーで撮影した作品で知られる写真家ニック・ヴィーシーの写真、クリエイティブ集団MONGOOSE STUDIOの座る人の位置や荷重を光で表現した『Galvanic Frame』、デザインエンジニアリングファームtakram design engineeringの走りの力学的原理をまねした六足走行ロボット『Phasma』(ファスマ=ラテン語で魂の意味)、からくり人形の骨格の妙、仕組みの美しさを改めて探る『弓曵き小早舟』などですかね。標本室と実験室とで展開されていて、目で見て触って楽しい空間です。
「骨」展プログラム。
ポストカード買いました。
歩み寄る意識
プロダクトに有機的なスタイルを与えることよりも、洗練された設計解の達成によって結果的に有機的な印象になることの方が上位にある。
via: 山中俊治
構造とデザインは表裏一体の関係性。構造を描くことがデザインとなる。見た目重視なら構造はどーでもいいのか。その逆もまた然り。ありとあらゆることに共通して言えることですが、ボクが日々の仕事で携わってるWeb制作についても頭を悩ませる部分でもあります。双方で完璧な関係性にはなるのは難しいのかもしれないけど、歩み寄ろうと意識することはできる。
デザインがステキで、構造もしっかり組めてて、システムやアプリケーションまでキレイに連動して多様性に優れるWebサイトを見つけると、よだれを垂らしながらうっとり見とれる反面、同じつくり手としてうらやましく思い、刺激を受けます。
かたちを描こうとするのではなく、構造を描くことによって自然とかたちが生まれるっていう意識をもっともっと高め、感覚的につかめるようになりたいと今回の「骨」展を終えて感じました。
視覚的にも感触的にもスゴく楽しめる展覧会だと思うんでオススメでーす。夏の終わりを感じさせる8月30日まで開催。
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