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Webディレクター/デザイナーtakasyiのシネマアーカイブ。単純に観た映画を覚えとく手段のひとつになるメモ書き程度のテキスト。休みの前の日に、夜中遅くまで映画観るのとかたまらんですよね。

ソーシャル・ネットワーク / the social network

the social network

4

2010年 / アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:アーロン・ソーキン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ / アンドリュー・ガーフィールド / ジャスティン・ティンバーレイク / アーミー・ハマー / マックス・ミンゲラ / ブレンダ・ソング / ルーニー・マーラ

今やユーザー数が5億人を突破した世界最大のSNS『Facebook』を、わずか19歳にしてハーバード大学寮の一室で始めた天才男マーク・ザッカーバーグの実話に基づいた物語。『Facebook』の創設から発展までを追いながら、時には夢を共に志し、時にはすれ違い、時には争い合うといった、親友エドゥアルド・サベリンをはじめとしたマークを取り巻く交友関係や人間関係にスポットが当たり、創設の裏側にある人間ドラマを描いている。

宣誓供述の場で語らせていくフィンチャー作品としては珍しい会話を主体とした台詞ドラマで(字幕量は2165枚で3秒に1枚の字幕カードだそう)、フラッシュバックでそれぞれのドラマが時間軸を行き来しながら進行する立体的な構成。そこにフィンチャーならではと言ったインパクトの強いオープニングとエンディングがかぶさる。

マークとガールフレンドのエリカが交わす会話をひたすら流し、マークの人となりをある程度認識させるようなオープニングはとても印象的だったし、まさにインターネット上でのソーシャル・ネットワーク化やデジタル生活が加速し続ける現代において、そんな時代を象徴するひとつにもなるようなラストシーンはお見事でした。Facebookに限らず、なにかしらSNSを利用したことがある人にとっては、あのラストはなにか共感できるものがあるんじゃないでしょうか。

この映画はFacebookってのが何なのかまったく知らない人でも、インターネットやパソコンの知識に乏しい人でも充分鑑賞出来るように作られている。新人弁護士が言う「あなたは悪い人ではない。なのに、一生懸命悪人になろうとしている。」という台詞がすべてを物語ってるかのように、“ソーシャル・ネットワーク”という言葉の本質ともなる、“人間同士のつき合いや繋がり”とはどういうものなのか?ということを問われているかのようだ。

ゴダール・ソシアリスム / Film Socialisme

Film Socialisme

4

2010年 / スイス=フランス
監督:ジャン=リュック・ゴダール
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:カトリーヌ・タンヴィエ / クリスチャン・シニジェ / アガタ・クチュール / ジャン=マルク・ステーレ / アイ・アイダラ / マリー=クリスティーヌ・ベルジエ / ナデージュ・ボーソン=ディアーニュ / マチアス・ドマイディ / カンタン・グロセ / オルガ・リャザーノワ / モーリス・サルファティ / エリザベート・ヴィタリ / マリーヌ・バタジア / レニー・ケイ / パティ・スミス

『ゴダール・ソシアリスム』は“こんな事ども”、“どこへ行く、ヨーロッパ”、“われら人類”という3つの物語(もはや"物語"とかっていうありきたりな言葉では言い表せない気もするけど...)で構成されているが、始まりと同時に文学や映画、人物などをめまぐるしく引用させたゴダールの“ライヴ会場”へと放り出される。

そこに映し出されている映像ともそこで語られている内容ともシンクロせずに、乱暴なまでにモノラルとステレオを巧みに使い分け、別々のスピーカーから別々の情報を乗せた音が届く。映像もデジタルとデジタルを意図的に荒く加工したものと35mmフィルムが激しく切り替わり(全編をデジタル版で完成させ、その後ゴダール自身が編集に入り35mm変換を完成させた)、それらが交差する空間は刺激的かつ挑発的な空気に支配され、あたかもゴダール自身がすぐそばで VJ/DJを行ってるかのような、緻密でエネルギッシュで生々しい、まさに“ゴダールライヴ”が時にはブーストを起こしつつ息つく暇もなく展開される。

人類の歴史を築いたとされるエジプト、パレスチナ、オデッサ、ギリシャ、ナポリ、バルセロナの6つの都市を辿る章「われら人類」。そのバルセロナのシーンではFCバルセロナのイニエスタが激しいチャージに遭うスローモーションのTV映像が他の映像と交互に流れる場面がある。

ゴダールの作品には「引用元を知らないと作品を理解できない」といわれるくらい多種多様な引用が登場する。この『ゴダール・ソシアリスム』でも本編を構成するほとんどの要素が何かしらの引用を用いていて、それはまるでFCバルセロナが格下チームを相手にゲームを支配し、次々と強烈なシュートを浴びせるかのように飛び込んでくる。

プログラムにて引用元の一覧が載っていたが、全部で79個の引用が盛り込まれている。これらすべての知識を持って作品に臨めたとしても1つずつ理解して片付けていくのは至難の業だろう。だが、たとえ知らなかったとしても、“BE動詞は使うな”、“言葉のあらゆるイメージを退避させること”、“太陽を襲ってやる 太陽が襲ってくるのなら”、“今や 悪い奴らが真剣だ”などなど、一つ一つのテキストには印象に残るものがあったり、前述のようにそれに映像と音が加わることにより、より興味深く掘り下げてみようという好奇心にもかられる。

シーサイドモーテル

シーサイドモーテル

3

2010年 / 日本
監督:守屋健太郎
脚本:柿本流 / 守屋健太郎
出演:生田斗真 / 麻生久美子 / 山田孝之 / 玉山鉄二 / 成海璃子 / 古田新太 / 温水洋一 / 小島聖 / 池田鉄洋 / 柄本時生 / 山崎真実

ど田舎の山中にあるのに名前にシーサイドと付くモーテルの4つの部屋での出来事がどこかで交差し関係性を持ってくるお話。
連続で男5人が横切るか否かのシーンは思わず吹き出した。温水が一瞬きかせる睨みが怖い。コールガール演じた麻生久美子は目を見張るものがあるなぁ。節水で水も出なくなったりでボロいけど泊まるとしたら103号室かな。そうか、あのビーチの写真はそういうことだったのか。

アウトレイジ

アウトレイジ

3

2010年 / 日本
監督:北野武
脚本:北野武
出演:ビートたけし / 椎名桔平 / 加瀬亮 / 小日向文世 / 北村総一朗 / 塚本高史 / 板谷由夏 / 中野英雄 / 杉本哲太 / 石橋蓮司 / 國村隼 / 三浦友和 / 渡辺奈緒子

ちょっとしたことをキッカケに組織がバタバタと崩れゆく全員悪人なヤクザ映画。したたかさがキラリと光り、英語も喋れる頭脳派ヤクザ演じた加瀬亮がすごく良かった。
「どうやって人を殺そうかというプロセスを先に考え出し、それに対しストーリーを後付けした」というだけあってバイオレンス描写にはこだわりを持って作られてるので、そりゃまあみなさんいろんな殺され方されちゃってます。國村隼の殺され方(あっかんべー)が強烈だった。全体を通してのヤクザとしての立ち回りっぷりが際立った椎名桔平の最期は音が印象に残ったなぁ。

ノルウェイの森 / NORWEGIAN WOOD

ノルウェイの森

4

2010年 / 日本
監督:トラン・アン・ユン
脚本:トラン・アン・ユン
出演:松山ケンイチ / 菊地凛子 / 水原希子 / 高良健吾 / 霧島れいか / 初音映莉子 / 柄本時生 / 糸井重里 / 細野晴臣 / 高橋幸宏 / 玉山鉄二

壮大かつ残酷なまでに響き渡る音楽と、登場人物たちの心境をこれでもかと表すかのようなカメラワーク、そして出演者たちの繊細かつダイナミックな演技。冒頭からキズキが自殺をするシーンまでの流れから始まり、終始圧倒されっぱなしでした。

デリケートな内容ながら重要になってくるのがシーンの切り替わり方だと思うんですが、とても巧妙で丁寧に作られてるなぁと感じました。歩く、緑、雨音、雪、波、電話、どれもが確実に心に届いた。素晴らしい素敵な1本です。監督・脚本はベトナムのトラン・アン・ユン。そういえばファッションなんかもどことなくベトナムっぽさを受けたなぁ。