エイリアンが難民って設定なだけで「っ!コレは観に行かなきゃ!」と心躍らせていた『第9地区』を渋谷東急にて鑑賞。バイラルでもどんどん広まってるみたいですねコレ。
抜群に良いダメダメなエイリアンたち
1982年に南アフリカの首都ヨハネスブルグの上空に立派な巨大宇宙船が飛来。こりゃ大変だ!ってことで意を決して偵察隊を送り込むも、実は宇宙船壊れちゃってしょーがなくここに来ちゃったんですけどね、どーしたらいいですかね?なんとかなりませんかね?的な、疲れきったエイリアンたちがうじゃうじゃと。
そもそも「エイリアン」と聞くとまずイメージしちゃうのが、デカくて凶暴で貪欲にどこまでも襲いかかってきて、血液が強力な酸で出来てるあのエイリアンなんですが、そんなイメージとはかけ離れてるのが第9地区で生活するエイリアンたち。
見た目としては、これまたエイリアンと聞くとイメージしがちなプレデターをプレス機で1回潰しちゃったあとに、エビとかカニなんかの甲殻類系をドッキングさせたような感じ。
何日も風呂(?)に入ってないから臭いヤツもいれば、酔っ払ってゲロしちゃうヤツもいる。車のタイヤやら何でも食うかと思いきや猫缶が大好物で、隙を見て盗もうとしたりするヤツもいれば、逆にエサにされてまんまと誘いに乗っちゃったりするヤツもいる。
そもそも仮設住宅に“いったん”住まわせちゃいましょうってところがもう持ってかれる要素として大きかったんですが、構成として関係者のインタビューを交えたフェイクドキュメンタリーで描かれてるのもさらに拍車がかかって良かったです。
至って真剣な社会派ドラマ
そんな悪ノリみたいな設定とは裏腹に、“差別”という社会問題がSFの舞台で容赦なく展開され、観る側にドンと突きつけてくる。たとえそれがフィクションのエイリアンでも目を背けたくなるような表現が導入部分に多数出てくる。
主人公ヴィカスもあからさまにエイリアンを“差別”する側の人間だったが、物語が進むにつれ心境の変化が起こり、それもどこかデジャヴな感覚を覚えた。彼が妻を大切に想う気持ちと同様に、エイリアンも子供を愛してる。
肉片が飛び散ってカメラにくっついちゃったりで、スプラッターもなかなかのもんでしたが、ぜひぜひ観てもらいたい1本です。なんていうかW杯もあることだし、今年の上半期は南アフリカに注目ってところです。
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