シアーシャ・ローナン主演、ジョー・ライト監督のサスペンス・アクション『ハンナ』を新宿ピカデリーにて鑑賞。
新たなヒロイン像は無垢で透明感あふれる敏腕暗殺者
ハンナには、どこか地球ではないところから来た人のような雰囲気がある。会った人がなんらかの影響を受けずにはいられない、不思議な天使みたいなニュアンスがね。シアーシャはこのキャラクターに、僕が望んでいたとおりの詩的なミステリーを与えてくれた。
via: ジョー・ライト
ジョー・ライトが“不思議な天使のようだ”と語る16歳の少女ハンナがスクリーンいっぱいに広がる。『ハンナ』のイントロダクションでもあり大きなポイントともなる“新たなヒロイン像”となったシアーシャ・ローナンは、『ニキータ』のアンヌ・パリロー、『レオン』のナタリー・ポートマンに続き、強烈なインパクトを残した。
脳裏に焼き付く「心臓、はずしちゃった。」というハンナの生き様がそのまま表れているかのようなオープニングとラスト。
そんな“無垢で透明感あふれる敏腕暗殺者”と対照的ともなっているのが、魔女のような出で立ちで迫るCIA捜査官マリッサ演じるケイト・ブランシェット。ジョー・ライトは実際にグリム童話のおとぎ話になぞらえて撮ったということだが、「サスペンス・アクション×おとぎ話」という異色を放つ一本になっている。
楽曲提供はケミカル・ブラザーズ
『ハンナ』には映画を観に行ったときにはあまり感じない音楽における“ライヴ感”を強く感じることが出来た。ジョー・ライトはケミカル・ブラザーズの長年のファンとのことだが、映画における音楽監督は初挑戦となる彼らは、ハンナの繊細かつ複雑な心理状態を見事に表現した。
ハンナがCIA内部から脱出するシーンでは、背景や照明も工夫され、彼らの十八番とも言えるノイジーで重低音の効いたサウンドと映像が展開される。鳥肌が立ち、アクションシーンを観ているのか、突如としてダンス・フロアに引きずり込まれたのか、よくわからない感覚にすらなった。
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