公開を楽しみに待ちわびてたデヴィッド・フィンチャー最新作『ドラゴン・タトゥーの女』を109シネマズ川崎にて鑑賞。
『ドラゴン・タトゥーの女』という物語で、僕にとって大事なのは、連続殺人やヴァンゲル家の秘密よりも、中年にさしかかったジャーナリストと、社会的に人権を奪われた20歳のヒロイン、この、あまりにも違う2人のキャラクターが互いをどうやって見つけて、どのように惹かれていくのか、という部分なんだ。この原作本がこれほどの世界的なヒットになった理由は、美しいラブストーリーでもあったからだと思う。確かに背景では異常な事件が起こるけどね。
via: デヴィッド・フィンチャー
原作となるスティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー・ミステリー3部作の1作目も、2009年に公開されたスウェーデン版『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』も、どちらも経ずに今回のフィンチャー版を観ることになったんですが、単純にイメージが一新した前回の『ソーシャル・ネットワーク』を撮ったあとのフィンチャー作品というところに、鑑賞の大きなモチベーションがありました。加えて“誰がハリエットを殺したのか?”などというアプローチで来られると、さらに構えてしまう感覚が先行しがちです。もちろん原作を知らないというのも多いにあるけど、良い意味で期待は裏切られたってところでしょうか。
とりあえず「最近観た恋愛映画でいいのある?」とか聞かれたら、コレをすすめようかと思いました。変態は何人か出てくるけどね。
それにしても、ドラゴン・タトゥーの女ことリスベット演じるルーニー・マーラ。『ソーシャル・ネットワーク』の冒頭で、一方的にしゃべり倒すマークの話を聞いてる娘が、こんな風になるとは思ってもみなかった。彼女のまさに“体当たり”の演技には終始魅せられます。しかも今回はマーク・ザッカーバーグが一目置きそうなくらいの(?)ハッカー少女なのもツボでした。
上映時間は160分近く。フィンチャー作品はどれもその長さをまったく感じさせない構成力がひとつの魅力でもありますが、今作でも一定の緊張感は常に保たれたまま鑑賞できました。
そしてやっぱり触れずにはいられないモザイクの件。ストーリー上、盛り上がりを見せる部分でのあのモザイク挿入は一気に現実に引き戻され「劇場でみんなでAV見てまーす」みたいな空間に叩き込まれる。理由なんざほぼほぼ察しがつくけど、もっとやり方あるだろう。なぜこういう雑な配給ができるのか残念でしょうがない。映画を愛してくれ。
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