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新たな“究極の選択”映画の誕生

タイムトラベルをあまりに深く理解しようとすると、たとえもっとも慎重に構築されたタイムトラベルの概念でも、最終的には破綻してしまう。パラドックスに突き当たり、必ずつじつまが合わなくなるんだ。だからすごく時間を使って、この映画の中でタイムトラベルのルールがどういうふうに機能するかを考えた。でも、すべてを言葉で説明するのではなく、そのルールをキャラクターの行動で見せるようにしたんだよ。

via: ライアン・ジョンソン

まずはやっぱり「未来の自分を現在の自分が撃ち殺す」という近未来SF&タイムトラベルの世界観でもありそうでなかった“アイデア”が素晴らしい。構想は10年みたいだけど、長いことかけてるだけありますね。脚本がとてもしっかりしている。

現在の自分(ヤング・ジョー)と未来の自分(オールド・ジョー)が対面するという現象は、この手のテーマのタイムパラドックスにおけるタブーの代表格だけど、いままでのそんな“常識”なんてお構いなしにヤング・ジョーはオールド・ジョーを殺すべく撃ちまくってます。
この30年後の未来からやってきたオールド・ジョーの目的をヤング・ジョーが阻止するという展開の中で、斬新で先が読めないシーンや映像が次から次へと入ってくる。

オールドとヤング、どちらのジョーにも明確な目的がある。いずれも個人的で自己中心的な目的で話は進行するんだけど、そのために手段を選ばないオールド・ジョーの非人道的な行いは痛々しく、敵のアジトで「ブッ殺すぞー！クソ野郎どもー！」とマシンガンをブッ放すシーンでは、頭がおかしくなったジョン・マクレーンがいきなり現れたのか！？とさえ思うほどで、終盤にかけて“未来のジョー”というよりは、“子供を狙う邪悪なモンスター”のような立ち居振る舞いだった。

一方で、他人とあまり関わりあいを持とうとせず未来の自分のことでさえ「関係ない」と他人のように扱い、LOOPERとしての任務を全うしようと奮闘するヤング・ジョーだったが、サラとシドに出会ってからラストまでの展開や心境の変化などを深く考えると、さらに物語に入り込める。

ジョゼフ・ゴードン＝レヴィットとブルース・ウィリス

僕は常にあのダイナーのシーンが、映画の前半と後半をつなぐもっとも重要な部分だと考えていた。あれはヤング・ジョーとオールド・ジョーが向い合って座って話をする唯一の時だ。あのシーンを撮影するのは素晴らしかった。なぜなら、あれは2人の役者がお互いに初めて一緒に座った時だったからだよ。彼らはしばらく別々に撮影していた。そして、半分くらい撮影したところで、突然、2人がテーブルで向き合っているところを撮影したんだ。ジョゼフの演技が、ブルースの話し方や動き方の癖と見事に合致するのを見ることができた。それはとてもクールだったよ。

via: ライアン・ジョンソン

監督が話すように、ジョゼフ・ゴードン＝レヴィットとブルース・ウィリスの2人の俳優が、ダイナーでステーキとスクランブルエッグを注文して見つめ合い、話をするシーンはストーリーの上で重要なのはもちろんのこと、映画史に残る食事の名シーンともなったと思う。カッコ良すぎる。

ジョゼフは特殊メイクでブルース・ウィリスの顔に似せつつ、話し方や癖を徹底的に研究したとのことで、その点だけ見ててもすごく興味深い映画なんじゃないかと思います。

ルーパー楽しみ！ @ ワーナー・マイカル・シネマズ 新百合ヶ丘 instagr.am/p/UaydsbmREa/

— takasyi | roughtabさん (@takasyi) 1月 13, 2013