見事な秋の月が輝く夜空のもと、トリコロールで埋め尽くされたニッパツ三ツ沢球技場で“背番号25”が輝きを見せ、リーグ戦3連勝と上り調子の清水から1-0で勝利し、勝点3を獲得した。
猛暑の中、7・8月のリーグ戦を6勝2分3敗で勝点20を勝ち取り乗り切ったものの、ナビスコカップ準決勝で柏にアウェーで4失点を喫し、前節のセレッソ戦ではドゥトラの7年ぶりとなる地を這うミドルシュートで追いついた勢いを活かせずホームで勝ち切れずドロー。
“優勝”の2文字しか見えていないチームとしては、最悪ではないにしろ決して流れが良いとは言い切れない9月の戦いを繰り広げていた。
8月に加入したばかりのラドンチッチの空中戦やポストプレーが馴染んできて、その周りからドリブルで仕掛けてくる高木俊幸や大前元紀らの攻撃陣が爆発して鹿島、大分、名古屋との接戦をものにしてきた清水とぶつかって勝つためには、ホームでの利を今まで以上に最大限に引き出さなければならないだろう。
チケットは完売。選手入場時にはゴール裏とバックスタンドがトリコロールのコレオグラフィで染まった。キックオフ前には、8月17日の対FC東京戦で挙げた中村俊輔のゴールが月間ベストゴールに選出されたことで表彰が行われたが、この時にゴール裏から中村俊輔のチャントとともに「俺達は俊輔と優勝したい」という断幕が掲げられた。
通常ホームゲームでは後半にサポーターが陣取るゴール側に攻めるスタンスをとっているが、「横浜F・マリノスはいつもサポーターを後ろに攻める形からスタートしているのでそれを変えたかった。」とコメントしているように、清水のゴトビ監督はコイントス勝利によりここに変化をつけた。
結果論だが今思えば「前半開始前にスタジアム全体で中村俊輔押せ押せムードを演出」「エンドの変更」という2つのポイントが、開始4分の見事なゴールを引き寄せたと言っても過言ではないかもしれない。
キックオフ直後はスタジアムを照らす月は清水カラーのオレンジ色だった。まるでその月めがけて思い切り左足を振り抜いたかのようにも見えた。リーグ戦のみで言えば初のシーズン2桁得点までリーチをかける9点目をマーク。今の彼のモチベーションとコンディションからすればすぐに実現できそうだ。
試合としてはとてもタフなものとなった。特に後半は防戦一方の苦しい時間帯もあり、実際にポストやバーにも3回助けられている。「こういうゲームをモノにしていくのが優勝への道。1-0で勝てるチームは優勝にふさわしい。」と中澤もコメントしているが、改めてそれを肌で感じる観戦となった。
2013 J1 第26節 横浜F・マリノス 1-0 清水エスパルス
- 榎本哲也、小林祐三、栗原勇蔵、中澤佑二、ドゥトラ、中町公祐、富澤清太郎(87' 小椋祥平)、兵藤慎剛、中村俊輔(93' 藤田祥史)、齋藤学(78' 奈良輪雄太)、マルキーニョス
- 櫛引政敏、杉山浩太、村松大輔、カルフィン・ヨン・ア・ピン、河井陽介(88' 伊藤翔)、石毛秀樹、本田拓也、竹内涼(77' 吉田豊)、大前元紀、高木俊幸(63' 村田和哉)、ラドンチッチ
- 得点者
- 4' 中村俊輔
- date
- 2013/09/21(Sat) ニッパツ三ツ沢球技場 13,416人
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