木村大作監督が「これは撮影ではない。“行”である。」と称した『劔岳 点の記』を渋谷TOEI1で観てきました。
“本物”の映画作りへの挑戦
全編を通して圧巻だったのは、CGを使わず空撮もなしで大自然と真っ向から向き合って撮影された、美しくもあり、恐怖すら感じる迫力たっぷりな映像。
木村監督が陸地測量部の芝崎芳太郎を演じた浅野忠信、測量隊の案内人を演じた香川照之に「役のことはもうどうでもいい。浅野忠信、香川照之自身でいいじゃないですか。もうあなた方は同じ体験をしているんだから。いちいち説明する必要もないだろうし、思ったことをやってくれればいいんです。」と話したり、香川照之が「木村監督の演出は本物の状況へ俳優を立たせ、そこに嘘を加えない。」とコメントするように、妥協せずに高いモチベーションで作り込まれた想いがひしひしと伝わってくると同時に、観てる側もまるで山に登ってるかのように感じるダイナミックな映像に釘付けでした。
“測量”に命をかける男たち
時代背景としては日露戦争後の1906年。日本地図完成を目指し最後の空白地点である劔岳の初登頂と測量を命じられた測量士・芝崎芳太郎。一方で日本登山会もヨーロッパから取り寄せた最新の登山道具を装備して登頂を計画。日本地図を完成させなければならないという使命で動く測量隊、登山のプロとして初登頂は譲れない日本登山会の意地。
そんな測量に命をかける男たち演じてるみなさんはそりゃもう迫真の演技、演技というか“そのもの”だと思うんですが、特に香川照之さん。もうヤバすぎる。これから香川さん見ても、相当の間は山の達人にしか見えないよねってくらい溶け込んでた。
仲村トオルが演じた日本登山会の小島が言った「ボクらは登ることが目的だ、ただ、彼らは登ってからが本当の仕事なんだ。」っていうセリフにグッときました。カッコ良すぎる測量隊。
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