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イエジー・スコリモフスキ『エッセンシャル・キリング』鑑賞

ESSENTIAL KILLING

ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキ監督の最新作、ヴィンセント・ギャロ主演『エッセンシャル・キリング』をシアター・イメージフォーラムにて鑑賞。

極限まで削ぎ落とした大胆なサバイバル・アクション

『エッセンシャル・キリング』では1人の男が人間の抵抗の限界を試すような状況に置かれる。それは1人対大勢の闘争だ。私は弱者に肩入れする傾向があるので、実際自ら異邦人になって集団的な敵との戦いを空想して楽しんだ。この物語は人間の存在に対する私たちの感情移入の限界を示唆している。

via: イエジー・スコリモフスキ監督

ESSENTIAL KILLING 2

この映画の主人公となるムハンマド(ヴィンセント・ギャロ)のセリフは一切ない。83分間ひたすら生死の境目をふらふらしながら逃げ惑う。大胆な構成ながら、この83分間のパフォーマンスは素晴らしい。

アフガニスタンの大地、耳に残るヘリの音、美しくもあり痛々しくも映る雪山、どれもがダイレクトに突き刺さる。よく聞くサバイバル・アクションという言葉からはなかなか想像もつかないけど、どちらかと言えばノンフィクションでありドキュメンタリーである。

イエジー・スコリモフスキ監督は“ここでは主人公のアクションは英雄的ではない”と話している。極限状態のムハンマドが生き残るためにとる本能の行動の数々がそれぞれ大きな見せ場のひとつにもなっている。"ESSENTIAL KILLING=絶対に必要な殺し"というタイトルを深々と考えざるをえないようなクライマックスもとても印象的でした。

野生の生存闘争を演じたヴィンセント・ギャロ

ESSENTIAL KILLING 3

イエジー・スコリモフスキ監督から“動物の強さを表現できる俳優”と言われたヴィンセント・ギャロの演技はお見事でした。

特に印象に残ったのは、護送車が事故を起こしていったんは逃亡を図るものの、裸足で雪山は辛すぎるぜ!と戻ってきてブーツを奪うシーンと、カラカラに乾いた喉を潤そうと母乳を飲むシーン。確かにあんな映像はヴィンセント・ギャロじゃなきゃ誰で撮るんだってくらいの迫力でした。

category

Movie

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