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Webディレクター/デザイナーtakasyiのシネマアーカイブ。単純に観た映画を覚えとく手段のひとつになるメモ書き程度のテキスト。休みの前の日に、夜中遅くまで映画観るのとかたまらんですよね。

しんぼる

しんぼる4

2009年 / 日本
監督:松本人志
脚本:松本人志 / 高須光聖
出演:松本人志

やっぱり今作は前作『大日本人』を比較対象として入った感じが強いんですが、すごく映画的な仕上がりだなーと思ったのが第一印象。演出だったり、カメラアングルだったり、演技だったり、ロケーションだったり。それでいて、見終わった後の感覚はどこか味わったことのない不思議な感じがした。

それは間違いなく終盤でエスカルゴマンの首がびよ〜んと伸びて相手をブッ飛ばすシーンからラストにかけての壮大かつ怒濤な展開を受けてのものだと思う。加えて、名前も年齢もわかんないパジャマ姿の男と、その男がいる謎の真っ白い密室。そのへんを観客がどうとらえるのか、たぶんそのへんがいわゆる「映画的」に感じた部分なんだと思う。

真っ白な部屋の中で、ちんこのボタンを押すことで、いろんなアイテムが飛び出してくるネタは、松本人志「VISUALBUM」の「マイクロフィルム」がちらちら脳裏をよぎって思い出さずにはいられなかったんですが、その何分間かのシーンで状況やルールを説明なしに把握させるという手法と、松本人志が作り出す映像作品がうまく絡み合ってた気がする。

特にその部屋で展開される“ネタ”も、アイテムとして日本を代表するものであったりして、国内外問わず観客を縛らない仕上がりになっている。日本人じゃないとわからない間であったり、絶妙な笑いであったりが盛られていたのが、もっと言うと松本人志という人物をある程度知ってないとわからないのが“大日本人”だとすると、今回の“しんぼる”は一般的でグローバルな意識を感じる。

「修行」「実践」「未来」という過程を経る中で、その男の行動は神聖な領域へと変化していく。あの空間にはそのような部屋がたくさんあって、「修行」の部屋から出れないヤツとか、引き戸に気付かず「修行」と「実践」の間に閉じこめられちゃうヤツがいるのかも知れない。

奇跡が起きたり、あり得ないことが起こったり、地球の歴史が変わる瞬間って、もしかしたらどっかでこんな風なやりとりが行われてるのかも知れない。男の“しんぼる”をぴゅるんと押して決められちゃってんのかも知れない。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 / EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.

CHANGELING4

2009年 / 日本
総監督:庵野秀明
監督:摩砂雪
脚本:庵野秀明
声の出演:緒方恵美 / 林原めぐみ / 宮村優子 / 坂本真綾 / 三石琴乃 / 山口由里子 / 山寺宏一 / 石田彰 / 立木文彦

この『破』は人と人との繋がり、愛情たっぷりの内容となってます。今までのシンジ、レイ、アスカといったキャラ、もしくはイメージしている各キャラ、新キャラクター・マリをひっくるめての怒濤の展開には“愛”を感じずにはいられなかった。見終わった直後、心の中では「ありがとう」と呟いてた気がしました(TVシリーズのラストとかは関係なく)。

その“愛情”を多分に含め、108分を通してスクリーンから溢れ出るパワーであったり、「惣流」ではなく「式波」であるアスカであったり、シンジとゲンドウを近づかせようと試みるレイであったり、零号機を食いちぎり頭部を吐き出す使徒であったり、初号機とレイとが融合して始まるサード・インパクトであったり、すべての要素をくみ取っての「ありがとう」だったんだと思う。

未来を写した子どもたち / BORN INTO BROTHELS: CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS

BORN INTO BROTHELS: CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS4

2004年 / アメリカ
監督:ロス・カウフマン
撮影:ロス・カウフマン / ザナ・ブリスキ

ニューヨークのフリー女性カメラマンであるザナ・ブリスキが、インド・カルカッタの売春街で暮らす子供たちにカメラを与え、写真教室を開きどうにか子供たちを救いたいと願い、何かできないかと模索するドキュメンタリー映画。

子供たちの作品にはどれも独特のセンスと力強さを感じる。それは同時に“ありのままの生活”を如実に表現しているもので、生まれて初めてカメラを手にしたとは思えないほどの写真ばかり。どんどんカメラの魅力に惹かれていく一方で、この街で写真を撮ることの意義が明確になっていく。

ザナ・ブリスキの手助けもあって学校へ通えるようになった子供もいれば、まだ売春街から出られない子供たちもいる。ただ、ファインダーを覗いて写真を撮るという行為から、自分たちの意志や努力によって未来は自分たちで選択できるんだということを彼らは学べた。

インドとかあの辺の子供たちを見るといつも思うけど、力強くていい目をしてるなー。

劔岳 点の記

劔岳 点の記4

2009年 / 日本
監督:木村大作
脚本:木村大作 / 菊池淳夫 / 宮村敏正
出演:浅野忠信 / 香川照之 / 松田龍平 / モロ師岡 / 螢雪次朗 / 仁科貴 / 蟹江一平 / 仲村トオル / 小市慢太郎 / 安藤彰則 / 橋本一郎 / 本田大輔 / 宮崎あおい / 小澤征悦

全編を通して圧巻だったのは、CGを使わず空撮もなしで大自然と真っ向から向き合って撮影された、美しくもあり、恐怖すら感じる迫力たっぷりな映像。

木村監督が陸地測量部の芝崎芳太郎を演じた浅野忠信、測量隊の案内人を演じた香川照之に「役のことはもうどうでもいい。浅野忠信、香川照之自身でいいじゃないですか。もうあなた方は同じ体験をしているんだから。いちいち説明する必要もないだろうし、思ったことをやってくれればいいんです。」と話したり、香川照之が「木村監督の演出は本物の状況へ俳優を立たせ、そこに嘘を加えない。」とコメントするように、妥協せずに高いモチベーションで作り込まれた想いがひしひしと伝わってくると同時に、観てる側もまるで山に登ってるかのように感じるダイナミックな映像に釘付けでした。

トランスフォーマー リベンジ / TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN

TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN4

2009年 / アメリカ
監督:マイケル・ベイ
脚本:アーレン・クルーガー / ロベルト・オーチー / アレックス・カーツマン
出演:シャイア・ラブーフ / ミーガン・フォックス / ジョシュ・デュアメル / タイリース・ギブソン / ジョン・タトゥーロ / レイン・ウィルソン / イザベル・ルーカス / アメリカ・オリーヴォ / マシュー・マースデン

巨大化・小型化含めロボットの数が増えた分、相互作用がむちゃくちゃ複雑化してるのにも関わらず、目につくような違和感をまったく感じさせない完成度。「バリエーション豊かなロボットたちが闘っている」っていう設定ですら膨大なレイヤーだろうに、プラスして「トランスフォーム」が常にあるわけだから、そのこだわりようには頭が下がるばっかり。ストーリーが単純なものなだけに、いかにこのビジュアル・エフェクトや地球を半周しながら繰り広げられる戦闘のロケーションに力を入れてるのかがわかります。4000年の歴史あるピラミッドの頂上であんなことやこんなこともさせちゃうわけです。